『プレステージ』 金魚鉢の重さを知れ
クリストファー・プリーストの小説『奇術師』をクリストファー・ノーラン監督が映画化し、クリスチャン・ベールやヒュー・ジャックマンなどが出演する映画『プレステージ』を紹介します。
個人的満足度:60/100点
↑ 女性はスカーレット・ヨハンソン
あらすじ
やられたらやり返す、絶対にだ。
他にもデヴィッド・ボウイやマイケル・ケインが脇を固めるこの映画の
ネタバレ無しおすすめポイント
①確認 Pledge
ロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベイル)の二人はマジシャンです。
マジックには必ずタネと仕掛けがあります。映画中に仕掛けられたタネを探して違和感を確認してください。
②展開 Turn
容赦の無い怒涛の展開は、「マジックをどう見せるか」というマジシャンと同じく、「映画をどう見せるか」というノーラン監督の演出です。ストーリーに追いつくべく展開に呑み込まれてしまいましょう。
③偉業 Prestige
マジシャンにとって偉業とは何か? 一流のマジシャンとは?
クリスチャン・ベイルへのインタビュー
『プレステージ』クリスチャン・ベイル 単独インタビュー - Yahoo!映画
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↓ 続きはネタバレ有り感想&レビュー
執念
アンジャー(ヒュー・ジャックマン)の執念は妻(パイパー・ペラーボ)を「殺された」という思いもあったのでしょうが、マジシャンとしてボーデン(クリスチャン・ベイル)の方が「マジックを作ることに優れている」ということへの嫉妬もあったのかと思います。ボーデンに復讐する、マジックでひと泡吹かせてやるという気持ちが、泥沼の復讐劇を発展させてしまったのでしょう。
マジック
必ずタネと仕掛けがある「マジック」。ボーデンの瞬間移動マジックは「本物だ」と確信し、簡単なトリックでは決してないと妄信するアンジャー。復讐心が目を曇らせた、あるいは誰よりもボーデンの実力を信用していたとも思えます。
しかし、シンプルなタネと、マジックのために「人生を犠牲にする」というボーデンの覚悟を見誤ったアンジャーは、結果としては奇跡を実現する装置をテスラ(デヴィッド・ボウイ)にもらいます。
テスラが装置を「使うな」と警告したのは、アンジャーから感じ取った復讐心が、決して良い結果を生まないと予期したからでしょうか。
偉業
グレート・ダントン(アンジャー)は一時でもプロフェッサー(ボーデン)を忘れ、一人のマジシャンとして観客の拍手を受けとめたことがあったのでしょうか。
「観客はダマされることを望んでいる」ということは、マジシャンにとって偉業とは、タネと仕掛けによって「観客を完全にダマす」こと。テスラが作った装置はほとんどSF的な現実離れしたものでしたが、これをタネも仕掛けもない「本当の奇跡」と考えると、グレート・ダントンが‘求めたもの’は観客が‘求めたもの’とはまったく違います。
「マジック」によって観客を取りあい、相手を貶めようとした二人ですが、テスラの装置を受け取ったその時からグレート・ダントンはマジシャンではなく、マジシャンを演じた復讐者となってしまうのです。