あるいはネタバレという名の追記　「何に忠を尽くすか」

ほら、僕は映画『あるいは裏切りという名の犬』の主人公レオに惚れたじゃないですか。ですから、レオについて追記したいのです。

お笑いコンビ『サンドウィッチマン』の「万引き」というネタより

　伊達「ホモかよ！！」

　富沢「ホモだよ！？」

　伊達「ホモなのかよ？！」

的なね。違うんです。人として惚れたんです。

　映画『あるいは裏切りという名の犬』について書いたこちら

主人公の行動原理について考えていたら、プレイステーション２のゲーム『メタルギアソリッド３　スネークイーター』と、僕の頭の中のニュートンが「リンゴうまい」とニューロンがその二つを関連づけたのでそれについてちょっと書いていきます。

ありがとうシナプス！

　この先では、なぜか映画『あるいは裏切りという名の犬』とゲーム『メタルギアソリッド３』のネタバレをしていますのでご注意ください。

以下、ネタバレ

　ザ・ボスというキャラクターが『メタルギアソリッド３』には出てきます。複雑な任務を与えられた彼女は主人公スネークに向かって「国に忠を尽くすか、それとも自分に忠を尽くすか」という問いかけをします。

この問いは、個人的な解釈をすると「お前を動かすものは何か？」と聞かれているのだと思います。

　ダニエル・オートゥイユが演じるレオ・ヴリンクスという人となりについて、レオの、その一身の処し方の見事さはどう言葉にすればいいのかと考えていました。

　忠とは「いつわりのない心」「まごころ」を意味する言葉と電子辞書に書いてあります。

　「国に忠を尽くす」をレオに当てはめれば、それは警察という組織に一身をささげることかと思います。ジェラール・ドパルデューが演じるドニ・クランに恨まれている、憎まれている状態でも、出世を第一に考えれば「殺人事件への関与」についてもなんとかできたかもしれません。

　「自分に忠を尽くす」は行動原理を「いつわりのない心」に置くことかと思います。僕はレオの生き方には芯があると感じました。

　彼は復讐の鬼となってドニ・クランの前に表れてもおかしくありません。しかし、自分では手を下さない。クランに「自ら罪を悔いろ」と銃を置いていく。

レオへの嫉妬と出世欲とを混ぜて生きるクランに、暴力で復讐をしても復讐足りえない。彼に後悔させなければ。犯した罪を考えさせなければ。彼に考える時間は与えられませんでしたが。

　しかし、クランが死ななかったとして、レオはそれ以上のことをしたでしょうか。しなかっただろうと思います。レオの復讐に囚われないその心を見事だと僕は思うのです。