『華氏451』 燃やしちゃうおじさん
フランソワ・トリュフォー監督の映画『華氏451』。原作はレイ・ブラッドベリの小説『華氏451度 』。これから『リベリオン -反逆者- 』(カート・ウィマー監督、クリスチャン・ベール主役)を見る方、もしくは見た方や、本好きな方におすすめです。
個人的満足度:55/100点
- 作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11
- メディア: 文庫
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あらすじ
読書禁止。書物所持禁止。テレビを見ればいいじゃない。
ネタバレ無しおすすめポイント
①目
この近未来の世界では消防士(fire man)の仕事は消火ではありません。建築物は防火建築になっており、燃えることが無いのです。彼らの仕事は本を燃やすこと。「本の所持や読書=反社会的」という信念のもと全ての本を焼き尽くすべく仕事にはげむ主人公モンターグ(オスカー・ヴェルナー)。彼の感情を表さない目もいいですが、テレビに出てくる演者達の見開かれた目は、感情を制御し考えることをさせようとしない作品内の世界観を映しているようで、言い知れない怖さがありました。
②比較
『華氏451』からの影響を認めているカート・ウィマー監督の『リベリオン-反逆者- [Blu-ray]』。根本のアイデアは同じでありながら、二つの作品で世界観やストーリーの進む先はまったく違います。比較しながら見ると、どちらの作品に対してもいろいろ考えることができて面白さが増すかと思います。
③おばさんが美しい
この内容はネタバレになってしまいますので書けませんが、おばさんが美しいのです。
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椅子
↓ この消防車に付いている椅子
使いました?
気になって見ていたんですが、キャプテン(シリル・キューザック)が暇そうな時も使わず、ついぞ最後まで誰も座らなかったと思うんですが、このイスなんなんですかね?
おばさん
自分の本が燃やされるなら、と一緒に燃えるおばさん。本が読めない世界には興味がない、こんな世界なら……。
本の大切さや本を読む人々の強さを描いた作品ですが、本が燃えるシーンが美しいです。
伝える
彼らはクーデターなどは起こしません。いずれこのような社会は滅びると確信しているからです。それはすぐなのか、何世代も後かはわかりません。
本を紙媒体のまま保存していても見つかったら燃やされてしまい、次の世代には伝わらない可能性があります。解決策は彼らが「本」となること。一人一冊の本を暗記し、死ぬ時にはそれを一人に口伝する。彼らは「本そのもの」になり、消防士には本は見つけられない。雪の降る中を様々な言語で本の中身をそらんじる「本の人々」、彼らの静かで力強い意志は決して「本の中の大切なもの」を失わず、次の世代へと伝え続けるのでしょう。
・小説『華氏451度』と映画『華氏451』について書かれています。
110夜『華氏451度』レイ・ブラッドベリ|松岡正剛の千夜千冊